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統合失調症 (schizophrenia) は、内因性の精神病で、一般的に思春期以降に発症し、症状としては幻覚や妄想などの現実歪曲症状と、思考や行動の統合が障害される不統合症状、思考や行動が貧困化する貧困症状などが認められる。
生涯罹患率は人口100人当たり1人であると言われているが、発症の原因は解明されていない。もともと訴因を持っている人が、日常的な刺激から脳の機能障害を発症するというストレス―脆弱性モデルが現在最も有力である。
元々ドイツ語の Schizophrenie に対する訳語として、明治時代に精神分裂病と訳された。しかし、患者・家族団体等から病名に対する偏見が著しく強いという苦情が多く、2002年に日本精神神経学会総会によって「schizophrenia に対する訳語を統合失調症にする」という変更がなされた。
DSM-IV-TRによる分類
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解体型 (disorganized type)
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破瓜期(思春期)に発病し、陰性症状(感情鈍麻、意欲低下、自閉傾向など)が進行するタイプで、陽性症状(妄想、幻覚)あまり見られない。基本的特徴としては解体した会話・行動、感情の平板化が挙げられる。薬物療法も奏効しにくく、予後不良の傾向がある。
緊張型 (catatonic type)
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20歳前後で突発的に発病する。基本的特徴としては不動性、過剰な運動活動性、極度の無言症、極度な随意運動、反響言語(他人の言葉の病的なオウム返し、意味のない繰り返し)、反響動作(他人の動作の模倣、常同症、衒奇症、自動的服従、擬態)が挙げられる。著明な運動の減少はカタレプシー(ろう屈症)や昏迷として表れることがある。しかし、予後は比較的良好で、社会生活が維持できる例も少なくない。治療により数カ月で寛解するが、再発も多い。
妄想型 (paranoid type)
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20歳代後半以降に好発する。基本的特徴は認知機能や感情が比較的保持されている中で、顕著な妄想や幻覚(主に幻聴)を主体症状としている。解体型や緊張型に特徴的な解体した会話や感情の平板化、解体または緊張病性の行動などの症状は顕著ではない。妄想、幻覚が主症状であるが、妄想の内容は恒常的であることが多く、次第に構築される。部分寛解や完全寛解を伴うエピソード性の場合もあれば、慢性の場合もある。比較的予後が良好で、社会生活の維持が可能なことが多い。
残遺型 (residual type)
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陰性症状が主体
鑑別不能型 (undifferentiated type)
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上記のいずれでもないもの
症状
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陽性症状
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正常な心理状態ではみられない異常な心理現象である症状
- 幻覚・妄想
- 奇異な行動
- (陽性の)思考形式の障害
- 場にそぐわない感情
陰性症状
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正常な心理状態にはあるはずのものが欠落している症状。
- 情動の平板化・情動純麻
- 思考の貧困
- 意欲・発動性の欠如
- 快感喪失・非社交性
- 注意の障害